
はじめに|素振りはバドミントンの土台づくり
バドミントンの上達に欠かせない「素振り」は単なる準備運動ではありません。フォームの矯正・ショットの再現性向上・基礎体力づくりなど、あらゆる技術の土台になります。
特に初心者のうちは、ラリーや試合に慣れる前に、正しい素振りを体に覚え込ませることが上達の近道です。
正しい素振りのやり方を、この記事ではステップごとにわかりやすく解説します。ぜひ参考にしてください。
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全てのショットや動きに対して、写真を使って解説をしてくれています。
素振りを始める前に知っておくべき3つのポイント
① 正しい握り方(グリップ)
バドミントンラケットは「イースタングリップ」で握り、「軽く握る」のが基本です。強く握りすぎると力が入ってフォームが崩れやすくなるからです。
- 基本は「イースタングリップ」
- ラケットは軽く握る
それぞれ、詳しく説明していきます。
イースタングリップ

イースタングリップの握り方を説明します。
イースタングリップはよく、「グリップを包丁を持つように握る」と言われます。
と言っても、包丁を握ったことが無い人もいると思いますので、具体的な握り方をお伝えします。
- ラケットの面を両足の間に挟んで、グリップを自分の顔側に向ける
- 利き手でグリップを上から掴む
- ラケットの面を足の間から外し、腕を体の正面まで上げる
これで、ラケットのイースタングリップの握り方になっていると思います。
後は、次の点を確認して微修正してください。
- 親指はグリップの左側に置いて、指先は面の方を向ける
- 人差し指はグリップの右側に置いて、少し面の方を向ける
ラケットは軽く握る
バドミントンラケットは、力を入れず軽く握るのが基本です。軽く握ってラケットが落ちてしまうのが不安な人は、親指と人差し指に少しだけ力を入れて握りましょう。
実は、ラケットを振るだけなら親指と人差し指だけで出来てしまうんです。この2本の指に加えて、グリップを支えてくれるのが残りの3本の指というイメージを持ちましょう。
バドミントンの練習の後、小指側の手のひらが痛くなっていたら余計な部分に力を入れている証拠です。意識して力を抜けるように頑張りましょう。
② スイングの基本動作(フォロースルーまで)
素振りでは「振った後」も意識します。素振りを行った後に、基本の構えに戻るまでの一連の動作を行うことで、より実践を意識した素振りが出来るようになります。
- ラケットはできるだけ高く振り上げて、体より前で手首を捻り振り下ろす
- ラケットを振り抜いた後は、自然にラケットを持った反対側にラケットが来るのが理想

【実践編】正しい素振りのステップバイステップ
STEP1:オーバーヘッドストロークの素振り
これは「スマッシュ」「クリア」「ドロップ」といった、バドミントンの基本ショットの動作を体に覚えさせる練習です。頭の上をラケットが通るストロークなので、オーバーヘッドストロークと呼ばれています。
オーバーヘッドストロークは、次の順番で体を動かしていきます。
※右利きの人がやる前提で記載します。左利きの人は左右読み替えてください。
- 基本の構え
- 右足を蹴る
- 腰を捻(ひね)る
- 右肘(ひじ)を上げる
- ラケットを手首で振る
- 右腕を体の左側に下ろす
- 基本の構えに戻る

それでは、1つずつ解説していくよ。
1.基本の構え
オーバーヘッドストロークの基本の構えは、以下のポイントを意識してください。
- 右足が後ろ、左足が前
- つま先は体の正面に向ける
- 右肘を弓を引くようなイメージで、右側にしっかりと引く
- 左手は指先まで伸ばした状態で、左足のつま先方向でやや斜め上方向に向ける
- ラケットの面の先は、左手の指先の方向を向ける
- 顔は左手の方向を見る

2.右足を蹴る
基本の構えが出来たら、いよいよ動き始めます。一度右足にぐっと体重を乗せてください。
左足が軽く浮くくらいしっかりと重心を右足に移動させましょう。
その状態で、右足を左足の方向に蹴りだしてください。この時、体全体が前方斜め上方向に動き出すことを意識しましょう。
3.腰を捻(ひね)る
右足を蹴りだしたタイミングで、腰の右側を前方に捻ります。
おへそが左足のつま先方向を向くまで、しっかりと腰を捻ってください。
4.右肘(ひじ)を上げる
腰を捻り切ったタイミングで、体に遠心力が加わっていますので、その勢いを使って肘を一気に上に上げてください。
ここで肘が上がりきっていないと、シャトルを打つ時の打点が低くなり、正しいショットが打てなくなってしまいます。
5.ラケットを手首で振る
肘を上に上げたことにより、自然と腕とラケットも上に上がっていると思います。そのまま腕を前の方に動かし、頭の横を超えた所で右の手首を捻りラケットを振ります。
このタイミングで、グリップを強く握るイメージになります。それまでは、力を抜いてリラックスした状態を作りましょう。実際にシャトルを打つタイミングもここになります。
併せて上げていた左手を肘から後ろに引くようにしてください。
6.右腕を体の左側に下ろす
手首を振り切ってスイングを行ったら、最後にラケットを左足の更に左側に振り下ろしてください。
その勢いを利用して、右肘を後ろ側に引き、最初の構えの姿勢に戻してください。
ラケットを右側に振り下ろしてしまうと、構えに戻るときにラケットを前から振り上げて戻すことになってしまいますので、時間がかかってしまいます。また、肩から肘に負荷がかかりやすくなってしまうため、ケガのリスクが上がってしまいます。素振りであれば必ずラケットは左に振り下ろすようにしましょう。

STEP2:ロビングの素振り(フォア/バック)
シャトルを高く上げるロビングは、腕の動きだけでなく“力を入れるタイミング”が重要です。
ロビングについては、次の3点を解説していきます。
- 基本の構え
- フォアのロビング
- バックのロビング
1.基本の構え
ロビングの基本の構えは、フォアもバックも同じです。以下のポイントを確認して構えましょう。
- 右足を前に出し、軽く膝を曲げる
- 右手にラケットを持ち、右手を体の前に出す
- ラケットは寝かせずに、面が斜め上方向を向くように立てる
- 両足はつま先立ちにして、かかとを軽く浮かせる
画像は、左利きの人バージョンです。

2.フォアのロビング
基本の構えをベースに、フォアのロビングの動きを解説していきます。動きの順番は次の手順の通りです。
- 右足を右斜め前方向に1歩出す
- グリップを握っている手の力を弱めながら、右腕を少し下に下げる
- 手首を上方向に捻りながら、グリップを強く握り、ラケットを振り上げる
3の手順の時、力を向ける方向は前方の斜め上方向です。
ボウリングの球を投げる時の感覚で、ボールを放すタイミングでラケットを強く振るイメージです。

3.バックのロビング
基本の構えをベースに、バックのロビングの動きを解説していきます。バックハンドのグリップに握り方に変えてください。バックハンドの握り方は次の通りです。
- グリップの広い面に親指を立ててくっつける
- 親指でグリップを押せるように持つ
それでは、動きの順番は次の手順の通りです。
- 右足を左斜め前方向に1歩出す
- グリップを握っている手の力を弱めながら、右腕を少し下に下げる
- 手首を上方向に捻りながら、グリップを強く握り、親指で押し上げるようにラケットを振り上げる
STEP3:8の字素振り(手首の回転強化)
ラケットを“∞(横8の字)”に回す動きで、リストコントロールを強化します。
- スイングは手首中心で行う
- ラケットの面が右側にある時は、フォアのロビングを意識
- ラケットの面が左側にある時は、バックのロビングを意識
- 左右とも下から上に手首を捻る時に、力を入れる
- ラケットが上にある時は、一旦力を抜く
フォアとバックのロビングを打つ時のイメージで、ラケットの面でスムーズに8の字を描くことを意識しましょう。スムーズに動かせるようになったらスピードを上げていくとより手首の力が強化されます。

まとめ|毎日の素振りがバドミントン上達の第一歩
素振りはバドミントンを始めたすべての人に必要な「基礎練習」です。 正しいフォームを反復することで、実際のラリーや試合でも安定したショットが打てるようになります。
まずは1日10分から。フォームに不安がある人こそ、素振りで自信をつけましょう!
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